論理よりも物語、神田昌典説は藤原正彦教授の論よりも説得性あり。

神田昌典著「お金と正義」
成功法と近未来予測を融合させた小説。

Al-Qaeda型宗教terrorと環境terror(環境破壊企業
に対する暴力攻撃)が融合。

環境terroristの一人は、CO2増加は環境破壊の原因
であるよりも結果だと語る。

三島氏の会社の洗脳programを環境terroristが盗む
作戦?いや三島社長は、環境terroristと闇取引、
programを数十億円で売却すると約束。
お金はenergyを別の形に変換したもの。

環境terroristは、沖縄お筆先新宗教と結びつき。
環境terror集団に多くの中学生が参加、日本net社会
の特徴?

主人公の姉は、占星術と洗脳programを融合させ、
99.7%の効果を達成、でも鬱病発生等の副作用が残る。
それを会社に報告した直後に変死。

三島社長は、敵会社の売収工作に応じる姿勢を見せた
妻を殺害し自滅。

著者による自作解説が濃い。比較神話学研究が、物語
の有効性を解明。

Hollywoodはその成果を活用。物語三部構成。旅立ち、
冒険、帰還。危機を通した成長物語。

危機がどの時点で起きるかを予測する。物語scenario
思考は、過去を分析する論理Logical思考よりも強力だ。

物語思考は、自分の内面に突破口がある。論理思考は、
外部に解決策を求める。

心象風景と現実風景が対応する。不思議研究所森田健
さん、王虎応さんが「外応」と呼ぶものと同じ?

分析思考脳、大脳新皮質と、共感、判断脳、大脳辺縁
系は全然別物、共感脳は神話伝承の様な反復学習を
必要とする。

共感脳が、緊急時の無意識の行動を支配する。日本の
社員教育での社歌、社員体操、社訓は有効な方法だ。

物語思考は、敵に感謝することを可能にする。Elliott
曲線は本来株価分析のためのものだけど、いろいろ応
用可能。

株価は人びとの勘定(発行企業への期待)の集積。集
合無意識の反映だ。株価変動曲線は、一種の物語だ。

USA人の世代周期84年、4世代で一巡。英雄、遊牧民、
預言者、芸術家、が各世代の特徴。
これが、日本では70年周期になる、が著者仮設。

charismaはFixerで、Celeb「パリピ」の上に立つ

「カリスマ論」続き。

芸人西野亮廣さんが弟子を育成した事例。
Homelessとして生活し(路上寝泊り以外の、
友人宅を泊まり歩くやり方も可)どんな仕事
も1件当り50円で受けろ、と指示。

それを実践した結果、仕事先で手間賃を遥か
に上回る食事を奢られるなどして、貯金達成。

結婚にも成功。結婚式費用はCrowdfundingで
集金。

著者は、日本の若者のPC離れ、smaphoがあれば
十分、の錯覚は深刻だとする。

PCとsmaphoの併用派とsmapho限定派とで格差が。
他人を攻撃して引きずりおろす一部Net民に、
著者は同調せず。

あの様なことをしては魂が穢れる。smapho限定
派は、裏取りやらずに安易に情報拡散、問題だ。

日本人は鰯の群れだ、中心が無い。戦前軍国主
義時代と類似する。

charismaの存在が鰯の群れを解消することを著
者は期待。

今の状況、情報洪水で、一般国民がいちいち情
報を吟味して、自分の政治への態度を決めるの
は「コスパ」が悪い。

政治家をCharaで選び、問題が起きたら被害者の
態度をとる。

著者は、原田曜平さんを援用して現在日本の階
層構造を描く。

最上位Fixer,charisma.その下Party people(パリピ)
著者流にはCeleb、twitter follower万単位。

その下がMild Yankeeや「リア充」やお宅。自分
の生活を盛り、それをInstagram等SNSで見せびら
かす。

Mild Yankeeは家族や仲間を盛り「リア充」は
食事等消費活動を盛る。お宅は趣味を盛る。

最下層民、一般人「パンピー」は、自分のやり
たいことが分らぬ凡人。

米中冷戦は06年、Bush政権下で開始、と日高義樹さん。

日高義樹著「米中冷戦の始まりを知らない日本人」
徳間書店。

2010年に米中冷戦開始したとする識者が居る。一般
には18年秋の副大統領演説で、対中冷戦開始とされ
るらしい。

でも著者は、Bush政権下06年に対中冷戦開始とする。
06年版国防報告書(四年に一度)で、中共がUSAを
攻撃する能力を保持したと認定。

それが冷戦の最大の根拠。Bush政権の運営は、著者
流には、MBA(経営大学院修士課程)方式、大統領が
何でも決めるやり方にせず、各専門部署に任せる。

それ故国務省と国防省の対立も生じたけど。
著者は、USAの核兵器の進化は核抑止力を無効化させ、
USA一強状態を取り戻したとする。

他の核保有国の核は取るに足らず。USAは核先制攻撃
も可能だ。Sovietが潰れた主因はUSAによるSS20核
兵器による包囲網だ、と。

Greenspan FEB元議長は、秘密会合で、通貨に重大な
影響を及ぼす金利に関する機密情報を話し,insider
取引をやらせ、相場を動かし、China系投機家を大損
させたとのこと。

USAは兵器の進化に合せてAsia駐留軍を減らし、在日
米軍も撤退方針。中共との直接対決軍事衝突を避ける。

日本はそれに合せて、経済力相応の軍事力を持つべき。
憲法改定、自主防衛化するべき。

日本は反米左翼流の親中に流れず、USAとともに、中共
を軍事力で封じ込めるべきだ。

Guam基地移設整備費用を日本が負担するのは当然。
USAが民主党に政権交代すれば、外交方針がぶれる
恐れもあるけど、それに幻惑されるな。

USAは第一次大戦前も第二次大戦前も、Germanyのの
経済力増大が自国の利益にもなるとして、軍事問題
を軽視して失敗。
中共に対してはその轍を踏むわけには行かず。

21世紀AI化社会は、独学が必要かつ容易な時代、野口悠紀雄教授も独学のすすめ

野口悠紀雄著「超」独学法」18年6月、角川新書。

近代思想では、人類科学知識が自然界を完全に支配
するとされたけど、その科学万能思想は今や崩壊した。

科学知識への過大評価を土台にした、学校への過大
評価も動揺しつつある。

過重な学費負担は、先進国での社会問題の一つ。
過重な学費負担はある意味不経済。
独学で世の中を経済化するのがよろしい。

学校秀才の権化の様に見える野口教授だけど、
かなりの独学家らしい。

経済学者として知られる野口氏だけど、学部大学院
は工学部。役所に就職するために経済学独学。

今は近代工業時代の様な安定状況が崩れ、変化が激し
く、独学の重要性が増しつつある。

またIT発達で、独学が便利で効率化される状況。
そこで独学のすすめ。

儒教科挙制度では、試験競争試験地獄は存在したけど、
学歴学校歴体制は存在せず。

学校に長期間在籍した人を偉いとする学歴信仰からそろ
そろ脱却して良い時期では。

変化の激しい状況では、絶えず新たな知識が必要になる。
独学能力が必要かつ重要である。

成熟市場社会では、学校は、優秀者を選抜する場である
よりも、独学能力が不足する者を収容し訓練する施設
になる?

独学には目利き能力が重要。どうすればこの能力が向上
するかを本書は伝授せず。

すぐ陳腐化すると見られる知識、IT関連などはさらりと
流す。すぐ役立たずになるお手軽啓蒙書に手を出さず。

本で重要なのは全体の2割以下,そこを見極めて熟読す
れば、読書を効率化することができる。

著者が外国留学した際、英文書多読のきつい課題を
こなすのに、技法を駆使。
本を下から見て、色が濃い、手垢が多い部分を熟読。

英語(外国語)は独学すべき。学校、語学校では
生徒学生の個別の事情に対処不能、専門語を習得す
ることが出来ず。

民間学校は生徒の事情よりもBusiness優先。英単語
は辞書で覚えるよりも文章丸暗記で、文脈で覚える。
通勤満員電車内は語学音声学習に限る。

20世紀型ideology冷戦から、21世紀型地政学冷戦による国際社会再分割?

21世紀の国際社会は、20世紀後半USA対Soviet
の冷戦とは別の新冷戦。

USA対中共の国際覇権闘争に突入した。20世紀
冷戦では、世界観、ideologyがことなる2大陣
営がほぼ没交渉で対立した。

現在のUSAと中共は貿易で密接な関係を構築、
米中新冷戦は、20世紀冷戦の様な徹底した対立
にはならず、との見方もあるけど、米中世界観
の相違も、かなり明らかになりつつある様に見える。

USAもSovietも、周縁部に位置したにせよ、西洋
文明西洋勢力の中に含まれた。

しかしChinaは古来東洋勢力、非西洋勢力。古来
自己中心思想、Chinaが世界の中心だとする中華
思想を維持する。

旧来の、西洋と東洋の対立の視点も重要だけど、
現代流行の、地政学の視点も重要に見える。

地政学の中でも、海洋勢力と大陸勢力の対立の
図式。海洋勢力USA対大陸勢力China.

今の欧州は、ideologyでは親和性が大きい筈の
USAよりも、同じ大陸勢力中共に靡く。

島国英国は大陸欧州に嫌気がさし、EUからの離
脱手続きを進める。

ideologyよりも地政学による国際社会再編成、
世界再分割が進行中。

従来の地理概念を白紙にした思考が必要になる
可能性がある。

日本はAsiaの一員として、Asia諸国と、戦争時
の対立を克服して和解するべきだ、欧州でGermany
が旧敵国と和解したのを手本にせよ、との課題
設定が無意味になる?

世界は海洋勢力と大陸勢力とに2分されつつある。
海洋勢力の一角日本は、他の海洋勢力との関係
を重視し、大陸Asiaとの関係を抑制するのが良い。

George Orwellは、1948で、国際社会再編を大胆
に構想。世界はEurasia,Eastasia,Oceaniaに三
分割されるとし、英米をOceaniaに編入した。

Orwell流には日本はEastasiaの一角になるらし
いけど、地政学ではOceania大洋州の中に入るの
が順当。



自由、民主主義、資本主義の三位一体Americanismが崩壊したと見られる

佐伯啓思著「アメリカ二ズムの終焉」

democracy=民主主義の誤訳に幻惑されず、
democracyを懐疑する、西部邁門下で保守派の
著者は、近代政治概念を独得に意味づけ。

近代欧州では、liberalismはdemocracyよりも
むしろnationalismと接続した、と。

liberal democracyを成立させたのがAmericanism
だ、と。

Americanismは、liberalism,democracy,business
(capitalism)の三位一体。

でもそれが冷戦終結後に崩れたと見られる。
近代経済学の祖、Adam Smithの自由主義は、国家
を前提にしたもの。

人民と国家の両方を富ませるのが経済学とされた。
国境を融かし、企業を富ませて人民を貧しくする
globalismはSmith思想とは全然別物。

著者流には、Soviet Stalinismの問題は、独裁
よりもdemocracy、人民主権、労働者主権思想の
過剰。

本来民主主義democracyと一体化された社会主義
をStalinが歪めたとする通説を採らず。

著者はKennedy大統領就任演説の思想、政府が国民
に何をしてくれるかを問題にせず、国民が政府に
何を出来るかを問題にせよ、は反民主主義反
democracyだとする。

USAで民主党と共和党が二大政党を形成する様に、
democracyと共和政は別の概念。重なる部分もある
けど。

貴族政や寡頭政は密室主義。共和政republicでは、
公開性publicの思想が重要。

今の日本政治は、密室での決定、情報統制で国民
をだまし誘導し選挙で形式上多数の支持を獲得し
た勢力が恣意勝手に権力行使。

戦後日本の主流勢力自眠党は、戦時中敵国で与党
の民主党よりも共和党の方が親日だとして共和党
を好むけれど、共和政思想が乏しい。

明治御誓文の一、万機公論に決せよ、は共和政思
想の様にも見えるけれど、王政天皇制と共和制を
両立させることは可能な様にも見える。
王政天皇制とdemocracyはやはり両立困難。

欧州北欧を手本にした格差対策に憧れる橘木教授

橘木俊詔著「日本人と経済」東洋経済新報社

島国日本は本来、大陸に比べて格差が小さく
貴族思想が乏しい。

戦前日本では税制面等で農民虐め政策がとられ、
小作地の割合がむしろ増大する逆行現象が生じた。

敗戦後GHQによる改革で格差が縮小されたけれど、
対Soviet冷戦終結後、また格差拡大過程に。

西洋では貴族は慈善事業救貧事業をする義務があ
る(高貴者の義務)とされた。

近代になると世襲身分制度が破壊され、立身出世
成り上がりが容認され、社会事情が変化した。

欧州では貴族の代りに近代政府が慈善救貧事業を
やる福祉国家が成立した。

USAでは成り上がり金持ちでも高貴者だとし、彼ら
に寄付社会還元や慈善事業が期待される。

著者は、欧州型福祉国家とUSA型次女社会(寄附思
想に本書は触れず)と自眠党流家族福祉伝統論の中
でどれが良いか、と問題設定。

欧州型、中でもDenmark型が良いとする。Denmarkの
最近情勢では、左派社民党も移民規制に転換、移民
抑制で国論が一致したらしい。

福祉のために消費税引上げ、同時に財政再建、企業
女子管理職割合引き上げのためにQuota制を提言。

失業手当職業訓練拡充。その一方市場原理で駄目企業
を退場させれば、高福祉と経済効率の両立化は可能と
見られる。

冷戦後、企業福祉が縮小されて生じた穴を、政府が埋
めるべきだ。

でも自眠党似非伝統主義も、左翼欧州かぶれ学者も、
日本本来の伝統は、仁徳天皇伝説以来、高貴者の義務、
慈善再分配が不要になる様に、権力者が搾取を抑制す
ることであるのを無視する。

著者は、現在の日本の医学部人気、医学部への高学力
者集中状況を異常とし、工学部不人気を憂慮しながら、
機会均等化せよと主張する。