橘木俊詔著「日本人と経済」東洋経済新報社
島国日本は本来、大陸に比べて格差が小さく
貴族思想が乏しい。
戦前日本では税制面等で農民虐め政策がとられ、
小作地の割合がむしろ増大する逆行現象が生じた。
敗戦後GHQによる改革で格差が縮小されたけれど、
対Soviet冷戦終結後、また格差拡大過程に。
西洋では貴族は慈善事業救貧事業をする義務があ
る(高貴者の義務)とされた。
近代になると世襲身分制度が破壊され、立身出世
成り上がりが容認され、社会事情が変化した。
欧州では貴族の代りに近代政府が慈善救貧事業を
やる福祉国家が成立した。
USAでは成り上がり金持ちでも高貴者だとし、彼ら
に寄付社会還元や慈善事業が期待される。
著者は、欧州型福祉国家とUSA型次女社会(寄附思
想に本書は触れず)と自眠党流家族福祉伝統論の中
でどれが良いか、と問題設定。
欧州型、中でもDenmark型が良いとする。Denmarkの
最近情勢では、左派社民党も移民規制に転換、移民
抑制で国論が一致したらしい。
福祉のために消費税引上げ、同時に財政再建、企業
女子管理職割合引き上げのためにQuota制を提言。
失業手当職業訓練拡充。その一方市場原理で駄目企業
を退場させれば、高福祉と経済効率の両立化は可能と
見られる。
冷戦後、企業福祉が縮小されて生じた穴を、政府が埋
めるべきだ。
でも自眠党似非伝統主義も、左翼欧州かぶれ学者も、
日本本来の伝統は、仁徳天皇伝説以来、高貴者の義務、
慈善再分配が不要になる様に、権力者が搾取を抑制す
ることであるのを無視する。
著者は、現在の日本の医学部人気、医学部への高学力
者集中状況を異常とし、工学部不人気を憂慮しながら、
機会均等化せよと主張する。
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