Drucker,日本官僚の無能を批判しながら、官僚主導体制否定はせず

Drucker著、Next Society,Diamond社、02年5月。

資本主義と自由市場経済は別物。前者は肯定され
るべきだけど、後者には疑念。

経営者が労働者との所得格差を20倍以上にする
ことに反対。

年金等基金が金融市場の大きな割合を占める現在
の状況は、資本家無き資本主義だ、とする。

でも経済民主主義にあらず。脱資本主義に向けての
働きをNPOに期待。

教会(宗教)と国家との関係が、欧州とUSAでは逆。
欧州では国民国家を教会から守ることが問題。USA
では教会を政治から守ることが問題とされた。

欧州では20世紀国民国家福祉国家が教会系Community
活動を破壊したけど、USAではそれが存続、NPOに
より拡充される。

欧州生れUSA移民の著者は、日本知識人の様な欧州
かぶれに流れることは無い。

日本は19世紀欧州型社会。官僚天下りは欧州France,
Germanyにもあるので驚くことは無いけど、自動車
電子機器以外は国際競争力無い。邦銀は非効率。

今の日本は著者の故郷、Austro-Hungarian帝国が
第一次大戦後に解体された状況と似るとする。

ただ、日本には17世紀の鎖国、19世紀の開国と、
急速に変化する能力があるので侮り難いとする。

信用も敬意も喪失したのに力を持ち続ける今の日本
官僚は、19世紀末から20世紀半ばにかけてのFrance
軍部に似る。

日本が官僚主導体制から脱却する見通しは小さい。
でも、経済最優先、経済を社会よりも優先させる
USAとことなり、社会を重視する日本には、官僚主
導体制はそれなりに適合性を持つ。



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