靖国に祀られることが、軍人遺族年金恩給支給の条件にされた。

島田裕巳著「靖国神社」幻冬舎新書、14年7月。

靖国神社は、新暦7月15日に、本来仏教行事の
みたままつりを戦後に導入して、庶民に受入れられた。

靖国は、薩長系官軍のみを祀り、賊軍反薩長を排除
する差別思想を土台にしたけど、戦後は軍人「英霊」
と一般人とを差別した。

差別は恩給(厚生省事業)とも結びつけられた。
恩給はGHQ指示により46年に一旦中止させられたけど、
53年に再開。

靖国に祀られることが、恩給支給の条件。旧軍人が
厚生省に再就職し、靖国に合祀するべき者の名簿を
渡して協力した。

靖国参拝問題の転機は1975年。三木総理(当時)が8月
15日に参拝して、公人か私人かが問題にされたこと。

また11月の昭和帝の参拝を、写経左翼が批判、結果
として恐らく最後の天皇親拝。

そして78年A級合祀。昭和帝がA級合祀に不快感を
示されたとする富田元宮内庁長官Memoに関して、
靖国讃美派はいんちき捏造だ、と反撥する。

著者は、元侍従、元侍従長ら複数の証言を照合すれ
ば、昭和帝の不快感は動かし難いとする。

さらに合祀断行した松平元宮司も、退任後に記者
に対して、合祀は昭和帝の御意向に反することを
承知の上でした、と述べた。

千鳥ヶ淵墓苑は、無名氏名不詳戦没者の遺骨を
収容しつつ、全戦没者を慰霊することを目指した
けど、靖国神社や支援者側の反対で頓挫。

法律上の墓地として認可されず、環境省の下部機関
が管理。

千鳥ヶ淵とはさらに別の、国立無宗教追悼施設を
作ることも検討されたけど、話がまとまらず。

どうやらほぼ時効。集団自衛権行使容認により日本
が戦争に参加し、戦死者が出て、それが靖国に祀ら
れれば「靖国問題」が解消するとの著者のまとめ方
は不可解。

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